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話し相手はAIでもOK!「末路本」著者に聞いた、幸せの三原則

お金を稼いでいる人や才能に恵まれて活躍している人、いつもたくさんの友達に囲まれている人を見て「羨ましい。それに引きかえ私は……」と落ち込んでしまう経験は誰にもあることなのでは?

でも、それってみんなが持っているように見えるから欲しいだけじゃないの? みんなにとっての幸せが自分の幸せとは限らないのでは?

2017年3月に出版された書籍『宝くじで1億円当たった人の末路』(日経BP社)のコミック版『マンガ 宝くじで1億円当たった人の末路』(同)が昨年末に発売され、シリーズ累計18万部を突破しました。

「宝くじで1億円当たった人」「『友達ゼロ』の人」「子どもを作らなかった人」の“末路”を追うことで、世間がイメージする「幸せのカタチ」に対して「それって本当?」と疑問を投げかけています。

“末路本”企画のきっかけは? 自分にとっての幸せの見つけ方は? 著者で「日経ビジネス」の副編集長でもある鈴木信行(すずき・のぶゆき)さんに前後半にわたってお話を伺いました。

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多くの人は「お金」「仲間」「才能」で悩んでいる

——前編では、多くの人は「お金」「仲間」「才能」の三つがそろわなくて悩んでいるんだけれど、無理に三つをコンプリートしなくてもいいというお話がありました。後編ではそのあたりを詳しくお聞きしたいです。

鈴木:できれば二つ、ダメでも一つは持てるよう仕事をしたり勉強したりしましょうというのがこの本の結論です。実は専門家の受け売りなのですが、幸せ三原則というのがあって、この三つの資産を活用して「運動」「コミュニケーション」「非日常体験」を心がけると人は結構幸せなんです。

——どういうことですか?

鈴木:当たり前と言えば当たり前なんですが、運動しないと煮詰まっちゃうんですよね。「筋トレすれば全部解決する」という本を時々見かけますが、わりと真理を突いていて、運動することで気晴らしになるし、ヨガでも走るのでも何でも構わないですけれど、まずは体を動かしてみるのが突破口になるんです。

——たとえお金しかなくても「運動」「コミュニケーション」「非日常体験」が実現できればいいということですか?

鈴木:そうです。お金があればジムに行くなり海外旅行に行くなりして、運動と非日常体験は手に入りますよね。ジムや旅先で会う人とかコミュニケーションの相手だってできる。

——なるほど。ここで言うコミュニケーションとは? コミュニケーション能力がないと無理なのかなって思っちゃうんですが……。

鈴木:ここで言っているコミュニケーション相手というのは必ずしも友だちだけではなくて、家族でもいいし、いつも道ですれ違う犬を連れたおばあちゃんでもいいし、美容院で担当してくれる人でもいいんです。

——ときどき行くお店で話す人、でもいいんですか?

鈴木:いいです。飛行機でたまたま隣に座った人のような二度と会わない人でもいいし、もっと言えば、人ではなくてAIでもいいんです。コミュニケーションが取れればいいんです。かえって親密な友だちってなかなか助けてくれなかったりするし。

——確かに、親密な人には心配をかけたくないから頼みごともしづらいというのはあります。

鈴木:でしょ? 意外と緩やかな人間関係の人のほうが相談しやすいし、相談に乗ってくれやすい。もちろん、本当の友だちがいるっていう人もいると思うけど、それはそれで構わない。ただ、そういう人がいないから、私はダメなんじゃないかなって思う必要はないんですよね。

将来的に、みんなSNSをやっているとするとAIが絡んできて、年を取ってからは話し相手はAIスピーカーになるかもしれない。「そう言えばあの時あんなことあったよね」ってAIが話しかけたりする未来もそう遠くはないのかもしれない。それはそれでアリだなって考えとけば気が楽になります。

——一拠点だけではなくていろいろなところにちょっとした知り合いを作っておくというのは……?

鈴木:もちろんいいと思いますよ。

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幸せの秘訣は「運動」「コミュニケーション」「非日常体験」

鈴木:試しに今度煮詰まったときにやってみればいいと思います。ホットヨガに行って、美容院に行ってちょっと話して、いつもは行かないお店でご飯を食べてみる。騙されたと思って、その3点セットをやったら絶対いい感じになります。

——えー、煮詰まるのは嫌だけれどちょっと楽しみになってきました。いつもとは違ったお店でご飯というのは「非日常体験」ですか?

鈴木:そうです、できれば海外旅行がいいんですけどね。やっぱり異次元の度合いが違うじゃないですか。英語ができなくてもいい。それもね、英語ができないんだけど、その危機を突破する感みたいなもので脳に刺激がいくんでしょうね。

——あー、確かに! 異国のレストランでオーダーできただけで「私ってすごい」って思います。

鈴木:海外って大体トラブルが待ち受けていて窮地を突破したりあるじゃないですか。チケットの手配がどうのこうのから始まって。

——そういえばドイツでギックリ腰になったことがあります。

鈴木:そうでしょ? でもそんなピンチを切り抜けられると嬉しいよね。やっぱり、同じことばっかりやっていると煮詰まっちゃうわけですよ。だからそういう意味で、英語できないけど海外に行くとかね。そこまでしなくても、普段と違うことをするって大事なんですよ。

——そんなことでいいんですね。

とにかく「運動」「コミュニケーション」「非日常体験」を心がける。お金と才能がなかったとしても、仲間がいればコミュニケーションはもちろんみんなでスポーツしたり、一緒にキャンプに行ったりという非日常体験ができるし、閉塞感を感じたらたまには仲間を離れてもっと非日常な体験をしてもいい。お金、仲間、才能のうちの一個があれば幸せ3点活動ができるんです。

——三つを無理に手に入れようとしなくてもいいんですね。コミュニケーションも人間じゃなくてもAIでいいんだって思ったらもっと気楽に考えようと思いました。

鈴木:社会全体ももっと寛容になるといいですよね。「こうしなきゃいけない」って思うと大変だし、みんなが生き苦しいんですよね。少数派が息苦しい社会は、マジョリティも息苦しいんですよ。

——どういうことですか?

鈴木:変わったことをする人に対して「あの人はおかしい」「あの人変わっている」と排除したり、白い目で見るような社会だったら、マジョリティ側も自分が「変わっている人」にはなれないでしょ?

——確かに……。

鈴木:だから、マイノリティに「こうあらねばならない」と押し付けたり、排除したりする社会では排除している側も息苦しくなっちゃうんですよ。だから少しでも「こうあるべき」からみんなが解き放たれて、お互いに楽になればいいなあと思うし、それがこの本で伝えたかったことですね。

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(聞き手:ウートピ編集部:堀池沙知子、撮影:宇高尚弘)