角栓は、特に皮脂でベタベタしやすい鼻にできやすいので、皮脂が詰まってできたかたまりだと思っている人が多いかもしれません。ですが実は、角栓の約70%を占めるのは角質(たんぱく質)。皮脂は角栓の約30%にすぎません。角質で毛穴に栓をするから、「角栓」なのですね。
よく、毛穴が黒っぽくなってさらに目立ってしまうこともありますが、これを「黒ずみ毛穴」といい、角栓に含まれる毛穴付近の皮脂が空気に触れて酸化して黒くなってしまった状態のことをいいます。
ターンオーバーは遅いのも、速いのも、理想的な状態ではありません。ターンオーバーとは、「基底層」に存在するケラチノサイトが、形や構造を変化させながら、最終的に「角質」になり、そして一定期間が過ぎるとアカとなって自然に剥がれ落ちる工程をいいます。うるおい成分もターンオーバーの工程でできます。理想的なターンオーバーのスピードでできあがった角質はその中にたっぷりとうるおい成分を抱えており、また形もキレイに整っています。この状態の角質を「成熟している」というのですが、ターンオーバーのスピードが速い中で作られた角質は乾燥しており、形も不揃い。この状態を「未成熟である」といいます。未成熟な角質は剥がれ落ちる機能も低下しています。きちんと剥がれ落ちることができない角質は積み上がっていきます。角質が積み上がっている状態は、角層全体に起きているため、当然毛穴のある付近の角質も積み上がっています。剥がれ落ちることのできない角質達の行き先は「毛穴」。これか角栓となるのです。
もう少し専門的な用語を使って解説すると、角質同士は「手」(コルネオソームという細胞間内構造物)をつないでいます。剥がれ落ちる際には、この繋いだ手を離し、古くなった角質はアカになって剥がれ落ちていきます。その手をスムーズに離すために働いているのが酵素なのですが、酵素は「水」がなければ働きません。乾燥して水分不足の角層では、酵素は働かず、そのため手は離れず、繋いだままになります。
角質が未成熟化して、積み上がってしまうのも「乾燥」が原因。そして積み上がった角質同士を繋いだ手が離れないのも「乾燥」が原因なのです。
○こんなこと、していませんか?肌トラブルの元につながるお手入れ習慣
◆NGお手入れ習慣①...メイクを落とさない
帰宅が遅かったり、どっと疲れていたり、とメイクを落とすのが正直面倒な日も。でも、メイクを落とさないで寝てしまうのは、論外です。毛穴に詰まった角栓が取れないのはもちろん、メイク料が肌に残って汚れたままでは、あらゆる肌トラブルの原因に。「クレンジングと洗顔」の落とすケアは、肌が健やかに機能する状態を作るための、大切なお手入れです。
◆NGお手入れ習慣②...肌の洗いすぎ・ゴシゴシ擦る
角栓を取りたい一心で、洗顔中にゴシゴシ擦るのはNG。思わぬ肌トラブルの元につながるかもしれません。洗う際には、摩擦は禁物。ゴシゴシこするのは絶対に止め、肌を傷つけないようにやさしく行いましょう。
角栓をしっかり取るためには充分に泡立てて濃密な泡で丁寧に行うことが大切です。その弾力のある泡は、洗顔を終了するまで、泡がへたれることが少ないため、肌を過度に摩擦することが防げます。ですが、洗いすぎは肌乾燥の原因に。1日の洗顔回数は、朝と晩の2回が基本。よほど汚れた日でなければ、基本的にはそれ以上洗顔する必要はありません。
>○こんなこと、していませんか?肌トラブルの元になる生活習慣
◆NG生活習慣①...睡眠不足
徹夜はもちろん、睡眠不足の翌朝の肌は、いつも以上にベタついていませんか? 人は、睡眠中に皮膚細胞を構成するたんぱく質の合成を盛んにし、細胞に栄養を与え、肌のダメージを修復する「成長ホルモン」を分泌します。子どもは起きている間にも、この「成長ホルモン」が分泌されますが、大人の場合は深いノンレム睡眠が引き金となって、およそ夜10時~夜中2時頃のいわゆる「肌のゴールデンタイム」に分泌されます。睡眠不足になると成長ホルモンの分泌が著しく低下するため、皮膚表面はベタつくのに乾燥する、といった肌状態に傾きます。
◆NG生活習慣②...動物性たんぱく質や脂質、糖分の多い食品の摂り過ぎ
動物性たんぱく質や脂質、糖分の多い食品の摂り過ぎは、過剰に皮脂が分泌される原因として知られています。今一度、自分の食生活と肌状態を、見直してみることも必要です。
○できてしまった角栓、どうする? そんなときのオススメ対処法とは?
・ホットタオルで角栓をゆるめてとる
角栓を構成する約70%と、お話しましたが、角質はたんぱく質なので、とても硬いのです。ホットタオルで肌を温めることで、皮膚もゆるみ、毛穴もゆるみ、毛穴に詰まっている皮脂もゆるむ。クレンジングの前にホットタオルで温めておくと、角栓がより取れやすい状態になるのでオススメです。
・ふきとり美容
角栓の元となる古くなった角質のケアには「洗顔料を使って洗顔すること」が基本です。しかし、洗顔料を使用した洗顔をしていても、なかなかゴワツキがよくならなかったり、乾燥によって剥がれ落ちない角質がめくれ、粉が吹いたように見える状態のことも。そんな時は、ふきとり美容も効果的。ですが注意点もあります。乾燥が原因で未成熟な角質が剥がれ落ちにくい場合は、溶かして角栓をオフするものや、肌に負担をかけるスクラブ剤はおすすめできません。乾燥肌でも使える、肌に負担の少ないものを選ぶのを心がけましょう。
上記のほか、酵素パックや毛穴パックなども角栓ケアにはありますが、乾燥に傾いている肌や、刺激を受けやすいデリケートな肌には、注意も必要です。
○角栓を取るために、オススメのクレンジングのタイプはある?
クレンジング料は、洗浄力の高いタイプを選びましょう。一番洗浄力が高いのはオイルタイプですが、乾燥がちな人に次にオススメなのは、洗浄力の高いクリームタイプです。
○洗顔するときの注意点はある?
「ゴシゴシ擦るのはNG」とお話しました。洗顔料は、弾力性のあるたっぷりの泡で洗いましょう。濃密な泡のクッションは、指の腹が皮膚表面に触れて、肌を摩擦しすぎるのを防ぎます。力を入れず、内側から外側へ円を描くように優しく洗ってください。弾力が続く泡であれば、洗顔の途中で泡がへたることもなく、肌の汚れをしっかりと包み込んでオフし、肌のすみずみまで気持ちよく洗い上がります。
<美肌のために積極的に摂りたい栄養素と代表的な食品>
◆ビタミンA(β-カロテン)を含む食品...レバー、うなぎ、緑黄色野菜
◆ビタミンB2...豚レバー、卵、納豆、乳製品、アーモンド
◆ビタミンB6...レバー、マグロ、カツオ、鮭、バナナ
◆食物繊維...野菜、キノコ、海藻
角栓はなぜできてしまうのか。原因を知って、また、できにくくする予防法を知って、スキンケアだけでなく、生活習慣、食生活など、トータルで角栓のできにくい美肌にアプローチしていきましょう。