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災害が多い日本…“俳優”として僕たちができること【大森南朋×貫地谷しほり】

「雨ふり」や「ゆりかごのうた」「からたちの花」など、誰もが口ずさんだことがある童謡を手がけた詩人・北原白秋と天才音楽家・山田耕筰の出会いと友情を描いた映画『この道』(佐々部清監督)が1月11日(金)から公開されました。

(C)2019映画「この道」製作委員会

(C)2019映画「この道」製作委員会

北原白秋と言えば、教科書に載っている偉い人。しかし、本作では、実は自由奔放でやんちゃ、女性にだらしないけれどなぜか憎めない“愛すべきダメ男”として描かれています。

白秋を演じた俳優の大森南朋さん(46)と、白秋を温かく見守る妻・菊子を演じた貫地谷しほりさん(33)に話を聞きました。

【第1回】「いろいろな景色の中に身を置いていたい」大森南朋さんに聞いた“自分ルール”
【第2回】「悩んでいる自分を受け入れたら楽になった」貫地谷しほりさんに聞いた“自分ルール”

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“愛すべきダメ男”を演じて…

——白秋を演じると決まっていかがでしたか?

大森:教科書で拝見していた人だったので、どんな人なのかと思っていたのですが、佐々部監督のコンセプトを伺って、無邪気に取り組めればいいなと思いました。このような役をいただけるのはありがたいです。

——大森さんに通じる部分はありますか?

大森:どうでしょう、きっと「女の人にチャラい」と言わせたいのでしょうけれど(笑)。

——貫地谷さんは大森さんが演じる白秋を見てどう感じましたか?

貫地谷:最初のテストをしたとき(大森さんは)ふざけているのかなと思いました(笑)。でも、演じているうちにだんだん大森さんが愛おしい子どものように思えてきて、ずっと「かわいいな」と思いながら楽しんで演じていました。

——今回、大森さんが演じた白秋は“愛すべきダメ男”だと思うのですが、“ダメ男”を演じるのに難しい部分はありましたか?

大森:どこまでふざけていいのかというバランスが難しかったです。監督に止められるところもありつつ、やりすぎると自分も恥ずかしくなってくるところもありますので、バランスを取りながら演じました。

「俳優」として僕たちができること

——映画では関東大震災のシーンも描かれます。地震で街がめちゃくちゃになってその日の生活もままならない中、自分たちの無力さに打ちひしがれる白秋と耕筰ですが、白秋は「僕の音楽と君の詩とで、傷ついた人々の心を癒やす歌がきっとできるはずだ」という耕筰の言葉に感銘を受けます。

現代の日本も2011年には東日本大震災がありましたし、2018年は災害が多い年でした。芸術の一端を担うという意味で、俳優という職業も白秋や耕筰に通じる部分があると思うのですが、俳優としての役割を意識されることはありますか?

大森:今の日本も災害や事件が多いですが、そのたびに僕も白秋や耕筰と同じように無力と感じます。ただ、いつも思うのは、僕らにできることは仕事を、その日にやるべきことを一生懸命やるしかないのかなと。何の力になれないかもしれないけれど、それが正しい気がしています。

貫地谷:私たちの仕事はエンターテインメントではあるけれど、過去に起こったことを伝えていく役割もあるのかな、とも思います。そういう意味で、偉人を描いた作品や歴史を描いた作品に携われるのは俳優冥利に尽きます。今はすごく難しい世の中だと思うのですが、せっかく過去があるのだから、過去から学べることはたくさんあるし、こうやって取材を受けさせていただくことで、過去に起こったことの側面を伝えることはできるので、そんな役割が自分にはあるのかなと思っています。

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——これから映画を見る人にメッセージをお願いします。

大森:劇中では、はしゃいでいる芝居をしているので恥ずかしいのですが、作品としては、白秋と耕筰の関係がよく描かれています。当時の殺伐とした空気が現代と似た匂いも感じますし、いい作品になっていると思いますので、ぜひ劇場に足を運んでいただければと思います。

貫地谷:白秋のような、一芸に秀でている人って決まってダメな部分もあったりするのですが、そこをサポートしてあげたくなるほど魅力的な部分がある。「それってなん何だろう?」と考えると、純粋であることや自分がやりたいことをやっている部分なんですよね。そんな人たちの背中を押せる作品にもなっていると思うので、ぜひ観ていただけると嬉しいですね。

(聞き手:ウートピ編集部・堀池沙知子、写真:宇高尚弘/HEADS)