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弁護士ナシでも離婚はできるけれど……経験から学んだ注意すべき「判断の分岐点」

離婚するとき、弁護士を依頼するかしないか。迷ってしまうのは、離婚交渉を進める際の不安と弁護士費用の間で心が揺れるからではないでしょうか。離婚に際して何をすればいいのかは未知の世界ですが、離婚時は何かと経済的に大変なのも事実です。

自力でやるとどこでつまずくのか?弁護士に依頼した場合の費用やメリットは?自分で対処できることやすべきこと、弁護士に頼りたい点を整理し、不安を軽減してから離婚を進めていきましょう。

離婚の方法と進め方のおさらい

弁護士,離婚 (写真=izzet ugutmen/Shutterstock.com)

離婚は大きく分けて3つの方法があります。まず、それぞれの仕組みと特徴を押さえておきましょう

・協議離婚

協議離婚は、当事者である夫婦の話し合いで決まる離婚です。離婚届を役所に提出すれば成立し、日本の離婚の9割近くはこの離婚です。

手続きは非常に簡単ですが、離婚に際して大事な取り決めがある場合は注意が必要。後で話が変わったり、口約束で終わったりすることを防ぐためには、合意事項を公正証書にするなどの対応が大切です。

・調停離婚

調停離婚は、家庭裁判所が間に立つ離婚です。「弁護士を依頼して争う」離婚のイメージは、この調停離婚ではないでしょうか。裁判所が関与しますが、調停は「話し合い」です。当事者同士では合意できない場合、調停委員という第三者を交えて話し合って、落としどころを探ります。

調停で合意に至れば、「調停調書」という書面を作成し、離婚成立となります。調停調書は確定判決と同じ効力を持つので、例えば相手が約束事を守らなかったときなどに、法的対応を取ることができます。

・審判・裁判離婚

調停がどうしてもまとまらなかったとき、家庭裁判所が職権で審判を行うことや、当事者が裁判を起こして判決を求めることもできます。この場合、離婚の可否や離婚に関する諸条件は、当事者間の合意から裁判所の判断に移ることになります。

離婚の場合、いきなり裁判を起こすことはできないので、調停を経なければなりません。これは「調停前置主義」といって、まずは当事者同士の話し合いで円満かつ自主的に解決されることが望ましいと考えられているからです。

当事者だけでは解決が難しい問題

弁護士,離婚 (写真=Evlakhov Valeriy/Shutterstock.com)

もめることなくすんなりと合意できるのなら、協議離婚でまったく困りません。ですが、なかなかそうもいかないのが離婚というもの。当事者間で衝突しやすいポイントをまとめてみます。

・財産分与

離婚に際して夫婦が結婚期間中に作った財産を分けて清算することを、「財産分与」と言います。これは「一方が一方に自分の財産を分け与える」ということではなく、夫婦の共有財産を二人で分ける、ということです。

離婚時の財産分与には、財産のリストアップや分け方、ローンなど権利や契約が絡む問題、マイナスの財産など、対処が難しい問題も多いです。民事訴訟で争うことの大半は、財産権に関する紛争や支払いの問題など、お金に関する問題。お互い無用にもめず、法律的にも不備なく解決するには、民事訴訟同様、弁護士や裁判所の力を借りた方がうまくいくと思います。

・親権と養育費

離婚で対立が激しくなりがちなのが、子供の養育をめぐる問題です。さまざまな要素が絡みますし、無機的に処理しづらい感情の問題でもあります。このように、家族の感情的なあつれきを内包するのが家事事件の特徴であり、裁判所は法律的な観点からだけでなく、後見的な立場から調整を図ってくれるのです。

子供に関して生じる問題は、どちらの親が子供を引き取って育てるかという「親権」の問題、子供の生活にかかる費用の「養育費」をどう分担するかという問題、一緒に暮らさない親が子供とどう交流を持つかという「面会交流」の問題が主です。

離婚時にきちんと取り決めをしておかないと後々まで影響しますし、養育費や面会交流をスムーズに続けるために、弁護士や家庭裁判所、第三者機関のサポートが必要になる場合もあります。夫婦だけで処理するのではなく、さまざまな立場の専門家の力を借りた方がいい問題だと思います。

・有責のケースと慰謝料

勘違いされやすいのですが、慰謝料は離婚に伴って必ず発生するものではありません。離婚原因を作った方がもう一方に支払う、一種の「不法行為に基づく損害賠償」です。

そのため、何が離婚原因となったか、それを作ったのはどちらか、賠償額はどの程度が適当かなど、当事者間で解決するのが難しい性質のものとなります。

弁護士に依頼すると費用はどのくらいかかる?

弁護士,離婚 (写真=Andrey_Popov/Shutterstock.com)

弁護士に依頼した方がいいケースがだんだん見えてきました。ここで、気になるのが弁護士費用。一体どのくらいを想定しておけばいいのでしょうか。

・弁護士費用の内訳

弁護士に依頼するとき、費用がどのように算出されるのか、内訳を知っておきましょう。

弁護士費用は「弁護士報酬」と「実費」に分けられます。弁護士報酬には以下のようなものが含まれます。

着手金
結果の成否にかかわらず、弁護士に仕事を依頼するときに支払うお金です。たとえ100%望む結果にならなかったとしても、弁護士の仕事は発生します。これは、してもらった仕事に対して支払う報酬と理解すればいいでしょう。

報酬金
事件が解決したとき、成功の程度に応じて支払う成功報酬です。

手数料
契約書や遺言書の作成など、1回程度の手続きで仕事が完了するときに支払う料金です。

日当、タイムチャージなど
半日、1日などの時間拘束に対して支払うお金が日当、弁護士費用を時間単価と所要時間で計算するやり方がタイムチャージです。

実費は以下のようなものです。

収入印紙代、通信費、コピー代、保証金や供託金、交通費など。業務に遠隔地への出張が伴うときなどは、交通費が高額になることもあります。

・離婚事件の弁護士報酬、目安はどのくらい?

では、具体的に費用はどのくらいかかるのでしょう。

少し古いですが、日本弁護士連合会が2008年に全国の弁護士に実施したアンケート結果をまとめた『市民のための弁護士報酬の目安』(日本弁護士連合会、2009年)という報告書から、報酬の目安を見てみましょう。

【依頼内容の想定】
夫の暴力などに耐えられないので離婚したい。3歳の子供が1人いるが、自分が引き取りたい。慰謝料として200万円を請求。

【結果】
離婚が成立し、慰謝料200万円の支払いを受けた。子供の親権も認められ、養育費として月3万円の支払いを受けることになった。

これに対し、弁護士の見積もった報酬の想定額は、以下のような回答結果となりました。(回答総計1026人)

離婚調停から担当した場合
着手金
20万円前後:45.1%
30万円前後:41.5%
40万円前後:6.6%
50万円前後以上、その他:6.7%

報酬金
20万円前後:30.3%
30万円前後:39.6%
40万円前後:14.2%
50万円前後以上、その他:15.8%

調停がうまくいかず、引き続き離婚訴訟を引き受けた場合の追加料金
着手金
0円:26.3%
10万円前後:42.5%
20万円前後:17.0%
30万円前後:11.5%
40万円前後、その他:2.7%

報酬金
20万円前後:19.6%
30万円前後:36.2%
40万円前後:17.8%
50万円前後:16.9%
60万円前後以上、その他:9.5%

離婚訴訟の段階から担当した場合
着手金
20万円前後:26.4%
30万円前後:52.7%
40万円前後:11.7%
50万円前後以上、その他:9.2%

報酬金
20万円前後:20.1%
30万円前後:37.1%
40万円前後:16.5%
50万円前後:17.1%
60万円前後以上、その他:9.3%

こうしてみると、離婚調停にかかる弁護士報酬は40万円~60万円、訴訟まで含めると70万円~140万円程度と目算することができます。10年前の報酬目安ですから、そこを加味する必要がありますが、現在もそれほど大きく離れていないのではないでしょうか。

弁護士に依頼するということの意味

弁護士,離婚 (写真=Andrey_Popov/Shutterstock.com)

・弁護士の職務とは

『弁護士法』第一章第三条において、弁護士の職務は次のように規定されています。

「弁護士は、当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱によって、訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件に関する行為その他一般の法律事務を行うことを職務とする。」

つまり、訴訟やその他の事件において法律事務を扱う専門家、ということです。

・弁護士依頼なしで離婚した筆者の成功と失敗

筆者は弁護士に依頼することなく、協議離婚と離婚後の紛争解決調停を行いましたが、成功と失敗のポイントはまさに、「法律事務の専門家がついていたか否か」にあったと感じています。

筆者の場合、離婚成立を優先させて、まずは協議離婚で離婚届を提出し、その後解決しきれなかった問題について「離婚後の紛争解決調停」を申し立てました。解決事項がそれほど多くなく、手続きや書類作成自体がさほど難しくなかったため、法テラス(日本法律支援センター)の無料相談でアドバイスをもらいながら自分で対処する方を選んだのです。

しかし、困難は調停が成立した後に生じました。相手の不履行に対し、強制的に履行させる執行力がなかったからです。調停を成立させるところまでしか見通せなかった筆者の限界でしたが、法律の知識と運用に熟知している専門家にトータルで見てもらわないと、取りこぼすところが出てしまうのだなと痛感しました。

・弁護士に依頼しても自分でしなければならないこと

執行力がなかったために問題を残し、それゆえに、先日元夫の連帯債務が降りかかってきた筆者ですが、さすがに弱気になって弁護士に頼りたくなり、正式依頼も念頭に置いて、再び法テラスに行ってきました。

相談の結果、事態はそれほど最悪ではなく、まだ自力でやれることが分かりましたが、もう一つ再認識したことがあります。「お任せは、ダメ」ということです。

どういう落としどころに持っていきたいのか、どこまで獲得したら万々歳で、最悪どこまで飲み込むか。選択肢の分岐点が出てきたとき、どちらを選ぶのか。それらのことは、自分以外の誰も決断してくれません。

弁護士は問題を整理して、解決への道筋を示してくれますが、身を委ねていれば目的地に着く訳ではありません。最終的にどんな結末になったとしても、それを受け止め引き受けるのは自分です。

「弁護士に依頼したとして、結果につながるのか」という不安が生じるとき、もしかすると私たちの中には「とにかく何とかしてくれないかな」と手放しで任せてしまいたい、弱気と甘えがあるのかもしれません。

弁護士は強い味方。けれども剣を持つのは自分

弁護士,離婚 (写真=Chinnapong/Shutterstock.com)

筆者が法テラスの無料相談を受けながら自力で調停を進めていたとき、担当の弁護士はこういう言葉をくれました。「もし途中でつらくなったり、心が折れそうになったりしたら、そのときに弁護士を依頼してみてもいいと思いますよ」

離婚とそれに伴う紛争のただなかにあるとき、私たちはとても孤独です。どんなに仲の良い友人でも親きょうだいでも、本人に成り代わることはできませんし、彼らの善意のアドバイスが空しく感じられるときもあります。そんなとき、弁護士は法律の知識と実務という確かな武器で、バックアップしてくれる強い味方なのだと思います。

「離婚完遂」というラスボスに向かって、剣を持って立ち向かうのは自分。そう覚悟したとき、私たちは頼れる賢者を仲間にできるのかもしれません。

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