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家があなたを褒めてくれる 35歳、働く女性こそ家を持つべき理由

賃貸物件で一人暮らしをしている場合、当然のことながら毎月一定のお金が出ていきます。身軽に動ける良さは賃貸物件の魅力ではありますが、自分の居場所とは言い切れない不安も付きまとうものです。

例えば、独身の契約社員女子が、東京で家を買うとしたら、それは現実的な話なのでしょうか。ここでは、『35歳、働き女子よ城を持て!』 (高殿円著、角川書店)より、シングル女性が都心で家を持つメリットや注意点を紹介します。

現在、作家として活躍している著者ですが、本著は読売新聞の女性向けWebサイトに掲載されていた不動産エッセイです。連載当初より反響があったという本著を1級ファイナンシャルプランニング技能士であり宅地建物取引士の資格も併せ持つ風呂内亜矢氏が監修しており、専門家の確かな知識で裏付けされている一冊でもあります。

持ち家は自分を褒めてくれる場所

著者の周囲では、最近、アラサーからアラフィフにかけての女性たちの間で「家が欲しい」という声が高まっているようです。しかし、シングル世帯は一般的に賃貸暮らしが多く、独身女性が家を持つということは、とても勇気がいることのように感じてしまいます。

しかし著者は、生きていく上では「褒められること」が必要であると言います。会社でつらいことがあったり、誰も認めてくれなかったりしても、家はいつでも自分を受け入れて肯定してくれて、「一人でよく家を買った、えらい」と褒めてくれるというのです。

もし、あなたが孤独でも、自分で家を買ったら、毎日そこへ帰るたびに、あるいは家賃収入があるたびに、家が自分を褒めてくれるだろう。(6ページより引用)

目に見える自己肯定要素があると、生きるのが少し楽になる。じつは、一人で働き生きる女性こそ、一国一城の主を目指すべきなのかもしれません。

理想の家に何を求めるか考える

本書では、著者である本人(子持ち、関西に35年ローンで家を建てた)が、出版社勤務のM村(35歳独身、東京在住、契約社員で年収300万円台)の家探しに付き合う形式で話が進みます。

住宅購入を検討するとき、まずはモデルルームへ足を運んでみようかと思うもの。世の中には数えきれないほどのモデルルームがありますが、主にはファミリー層向けであり、たとえ見学に興味があっても、女性一人で乗り込むには敷居が高い印象です。

何事も、動かなければ始まらない。しかし、お財布の中身も心もとないシングル女子が、ピッカピカの新築マンション用モデルルームに単独突入して、場違い感をさらすのもまた、いたたまれない。(21ページより引用)

そこで、まずは目安として自分の要望をまとめてみることを、著者はM村に勧めています。

譲れない条件を洗い出して予算を設定する

まずは、平米数やセキュリティなどといった、譲れない要望を洗い出します。次に、予算についての考えをまとめます。仮に、現在支払っている毎月の家賃が7万5000円だとしたら、12カ月で90万円。30歳から35年間、同じ場所に住み続けたら3150万円と更新料がかかり、ざっくり3000万円前後の支出が想定されます。

このくらいの金額を購入額の目安にしつつ、新築マンションのモデルルームを探せばいいということになるのです。

モデルルームは決して怖くない。一にも二にも行動するしかないと言う著者。だからといって場当たり式ではなく、自分の条件をしっかりと押さえた上で臨めば、落ち着いて探すことができそうです。

新築なのか中古なのか考えを絞っておく

例えば、3000万円〜3500万円を予算とした場合、東京であれば山手線の内側において3000万円以下の1LDKが供給されることは稀であり、逆に外側であれば買うことができると言います。

また、山手線内側にこだわるのであれば新築1Kなら買うことができ、逆に外側ならば中古の2LDKが買えるなど、新築か中古かという選択は、調べるほどに見えてくる事情があるようです。

ところが、銀行で借り入れをする場合、新築と中古では住宅ローンの条件が同一とは限らないのだとか。つまり、中古物件では銀行が必ずお金を貸してくれるとは限らず、新築物件のほうが好条件になる場合もあり得ます。

もし、あなたが正社員で頭金に回せる貯金がないなら、新築を中心に探すのがいいだろう。(34ページより引用)

さらに、購入した住宅をゆくゆく人に貸すことを視野に入れるとしたら、すぐ売れる条件の物件であることも大事なポイントです。

広さ重視にするのか、立地メインに考えるのかなど、優先する条件をしっかりと考え、もし中古物件で住宅ローンを通す方向性でいくのだとしたら、頭金をためておく必要がありそうだと著者は示唆しています。

中古マンション探しは転職と同じ

著者とM村は、中古物件を回っているうちに、不動産のプロであるホームインスペクター(住宅診断士)から、こんなアドバイスをもらいます。

「転職するとき、相手の会社の経営状況や、会社の様子や場所も重要な要素になりますよね。(中略)マンションも同じなんです。」(58ページより引用)

確かに、転職に際しては、その会社のことを徹底的に調べて自分とのマッチングを探ります。ときには、中で働いている人にヒアリングすることさえあるものです。住まい探しも同じで、自分が希望する条件とのマッチングを探るためには、管理組合理事会や総会の議事録、管理規約、使用細則を見せてもらうことが手っ取り早いようです。

例えば、深夜の騒音、警察沙汰、ゴミ出し規則の変更履歴など、今までどんな出来事があったのかを大まかに知ることも重要です。今までどうやってトラブルなどを乗り越えてきたのかだけではなく、将来的なビジョン(長期修繕計画)があるのか、借金(修繕積立金の滞納や借入金)がないかなど、事前の調査は必須と言えるでしょう。

不自然な価格にはワケがある

さらに、土地の再開発に引っかからないかどうかも注意が必要です。法務局に行って土地の公図を見せてもらうと、小さいアパートなどの借家が多いところは、再開発の可能性があるのだと言います。また、中古マンションが妙に安い場合は、再建築不可の可能性もありそうです。

心配な場合は、ホームインスペクターに依頼して、念入りな調査をすることも視野に入れておくと安心でしょう。

住環境をランクアップすることで得られることとは

本書では、やがてM村は理想の家を手に入れることとなります。賃貸時代よりも住環境がワンランク上がったことで、自然とその環境に合わせようとし、必要のないものがはっきり分かるようになったのだとか。

疲れて帰るたびに、家が褒めてくれる。小さな心地よさを自分で作り上げているという自信や安心感を、家は与えてくれるのかもしれません。

タイトル: 『35歳、働き女子よ城を持て!』
著者: 高殿円
発行: 角川書店
定価: 1350円(税抜)