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医療費控除の申告に必要な書類は?「医療費控除費の明細書」の書き方【医療費控除をもっと知ろう・1】

そもそも「医療費控除」とは?

そもそも医療費控除とはなんなのでしょうか? ざっくりと「たくさん医療費を支払ったら、申告をすることで、お金がいくらか戻ってくる」と覚えている人が多いのではないでしょうか。

国税庁のホームページには「自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合において、その支払った医療費が一定額を超えるときは、その医療費の額を基に計算される金額の所得控除を受けることができる」とあります。

「自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族」とは、主に一緒に住んでいる家族、扶養に入っている家族などを指します。一緒に住んでいなくても扶養に入っている子どもや両親、また、扶養には入っていなくとも一緒に住んでいる共働き夫婦なども“生計を一にしている”とみなされます。

対象となる医療費は、毎年1月1日から12月31日までで計算されます。1年間で支払った医療費の総額が10万円を超えるか、あるいは、申告者の所得が200円未満の場合は所得の5%を超えた場合に申告ができます。

確定申告をすることで、所得税の一部が還付(戻ってくること)されるほか、新しい年度(6月から新年度に切り替え)の住民税額を減らすことができます。

「医療費控除額」や還付される金額の計算方法は?

1年間にかかった医療費の総額が計算できたら、実際どれくらい税金が戻るのか、簡単に計算してみましょう。

ステップ1:医療費控除額を計算

医療費控除額=(医療費控除の対象になる医療費 - 保険金などで補てんされた金額)-10万円(総所得200万円未満の人は総所得金額等×5%)

ステップ2:医療費控除額に「所得税率」をかけて、還付される金額を計算

「還付される金額」=「医療費控除額」×「所得税率」(所得に応じた税率)

ちなみに、所得税率は以下のようになっています(2018年9月現在)

【所得税率】

所得が195万円以下・・・5%

195万円超~330万円・・・10%

330万円超~695万円・・・20%

695万円超~900万円以下・・・23%

900万円超~1800万円以下・・・33%

※ 実際の減税額は、復興特別所得税や累進課税の影響で、計算した税額とは若干異なります

医療費控除の対象になる人は?共働き家庭の場合、夫と妻どちらで申請?

では、医療費控除の申告をする場合は、“生計を一にしている”人のうち、誰が申告者となるのがよいのでしょうか?

まず、我々が支払う所得税額は、所得に税率をかけることで決まります。医療費控除は、支払った医療費をこの所得から差し引き、課税所得を少なくすることで、支払わなければいけない所得税額を低く抑えることができます。

つまり、税率の高い人の課税所得を減らしたほうが、計算上は得ということになります。

【パターン1:共働き夫婦】

夫の所得650万(税率20%)/妻の所得300万(税率10%)

かかった医療費:55万円

保険で補填された金額:5万円

夫が申告する場合の還付金額:(55万―5万―10万)×0.2=8万

妻が申告する場合の還付金額:(55万―5万―10万)×0.1=4万

しかしこれが全てのケースに当てはまるわけではありません。

例えば、夫婦ともに給与所得者で、妻の所得が250万円で夫が300万円の場合、税率が同じなので還付される金額に差はありません。

【パターン2:共働き夫婦】

夫の所得250万(税率10%)/妻の所得300万(税率10%)

かかった医療費:50万円

保険で補填された金額:5万円

夫が申告する場合の還付金額:(55万―5万―10万)×0.1=8万

妻が申告する場合の還付金額:(55万―5万―10万)×0.1=8万

しかし、どちらかの所得が200万円を割っている場合は違います。

総所得金額200万円未満の人は、一律の10万ではなく、5%を差し引けばよいことになっています。

【パターン3:共働き夫婦】

夫の所得300万(税率10%)/妻の所得198万(総所得200万未満・税率10%)

かかった医療費:50万円

保険で補填された金額:5万円

夫が申告する場合の還付金額:(55万―5万―10万)×0.1=4万

妻が申告する場合の還付金額:(55万―5万―7.5万)×0.1=4.25万

年金暮らしの家族やパート勤務などで税金を支払っている家族がいれば、差し引く金額が少なくなるため、その家族が申告するほうが有利になるケースもあります。

税金を払っている家族が複数いれば、還付される税額を比較して、一番有利なケースを探ってみるといいでしょう。

医療費控除の必要書類は?提出が不要になった領収書の保管期間は?

医療費控除の制度は、少しずつ変更が加えられ、簡素化が進んでいます。給与所得者の場合、税務署に提出する書類は以下の通りです。

●確定申告書A様式

●勤務先で配られた源泉徴収票(原本)

●医療控除費の明細書

●本人確認書類の添付台紙(マイナンバーの写しや本人確認書類の写しを添付)

2017年度より医療費の領収書やレシートの提出をする必要がなくなり、代わりに医療費控除の明細書の添付をするようになりました。ただし、医療費の領収書は5年間の保管義務があります。申告後に税務署から確認を求められるケースがあるので、きちんと保管しておきましょう。

「医療費控除の明細書」の書き方は?「医療費通知」は代わりに使える?

医療費の領収書やレシートを提出する代わりに、「医療費控除の明細書」を提出します。明細書のフォームは、国税庁のホームページからダウンロード可能です。

画像:国税庁HPより

自分で作成しても問題ありませんが、その場合、明細書には、次の項目を記載します。

(1)医療を受けた方の氏名

(2)病院・薬局など支払先の名称

(3)医療費の区分

(4)支払った医療費の額

(5)(4)のうち生命保険や社会保険などで補てんされる金額

「医療を受けた方の氏名」、「病院・薬局などの支払先の名称」ごとにまとめて記入することができます。医療費控除の申告の際は、交通費も医療費として計算します。国税庁のフォームを使用する場合は、「その他の医療費」にチェックをします。

記入例(国税庁HPより)

また、保険組合から送られる医療費通知を添付することによって医療費控除の明細書の記載を省略することもできます。

医療費控除の「確定申告書」はどこで入手できる?ダウンロードでもいい?

医療費控除申告に用いられる「確定申告書A」は、税務署で入手することができます。自治体によっては公民館や市区役所に置いてある場合もあります。

パソコン環境が整っているのであれば、国税庁のウェブサイトからダウンロードも可能です。また、「確定申告書作成コーナー」を使うと、パソコンで入力できますし、所得額と医療費に応じた還付金が自動的に計算できて便利です。

医療費控除の申告はいつから?確定申告期間前でもできる?

意外と知られていないことですが、医療費控除を含む還付申告は翌年1月から可能です。該当する年の確定申告書を入手して必要が一式そろえば申告することができます。

2月15日から通常の確定申告が始まるので、税務署の繁忙期が訪れる前に申告をすませておくと、還付金が早めに還付される可能性が高くなります。

医療費控除の申告はいつまでできる?

確定申告の時期を終え、「医療費控除の申告が間に合わなかった」とあきらめてしまう方は少なくないようです。医療費控除を含む還付金の申告は、該当の年から5年間行うことができます。

例えば、平成25年(2013年)分については、平成30年(2018年)12月31日まで申告することができます。諦めずに遡って申告することで、きちんと還付を受けることができますよ。

【参考】確定申告・還付申告|国税庁

 

以上、医療費控除の申告にまつわる基礎的な知識についてお届けしました。

少しずつ簡素化している医療費控除の申告。払い過ぎた税金の還付は当然の権利であっても、忘れた頃に銀行に振り込まれるとちょっと得をした気持ちになりますよね。こまめに領収書の整理をして、申告に備えておきましょう。


【監修】

ファイナンシャルプランナー

畠中雅子

約20年続いている『たまごクラブ』(Benesse)の連載のほか、新聞、雑誌、web上に多数の連載を持ち、セミナー講師、講演業務などで全国各地を飛び回る。主に教育資金アドバイスをおこなう「子どもにかけるお金を考える会」主宰。著著は『結婚したらすぐ考えるお金のこと』(KADOKAWA)ほか、60冊を超える。


※情報は2018年10月現在のものです