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僕のように「キャンディボーイ」と言えなくても、自分を愛する方法はある

「自分の性別がわからなくなることがある」「性別のことで悩む友人に何て声をかけたらいいのかわからない」自分が当事者であっても、当事者でなくても性別の「枠」について悩んだことのある人は多いのではないでしょうか。

青山学院大学(東京都渋谷区)で行われた「日本財団ソーシャルイノベーションフォーラム2018」の分科会に登壇したタレントのりゅうちぇるさん、起業家の椎木里佳さん、Diversity & Inclusion Evangelistの蓮見勇太さんハフポスト日本版エディターの井土亜梨沙さん。

前編に続き、後編は、会場の方々からの質問に答える様子をお届けします。

僕は「キャンディボーイ」

井土:今日は、会場の皆さんからの質問も受け付けています。

質問者1:自分自身の性別がよくわかりません。性別は関係なくひとりの人として見られたいのですが、どうしたらいいと思いますか?

りゅうちぇる:僕も昔、そういう悩みをもったことがあります。可愛いものが好きなんだけど、恋愛対象は女の子。自分ってなんなんだろう?って。男とか女じゃ語れない感じ。でも、そういう僕自身の性質を、ぺこりん(注:妻でモデルのオクヒラテツコさん)が認めてくれたことで、このままでいいんだって自信になりました。いまでもからかう感じで「で、(性別)どっちなんですか?」って聞かれることがあるんですけど、そういうときは「キャンディボーイ」って答えてます。

井土:キャンディボーイ?

りゅうちぇる:僕は女の子が好きだし、ぺこりんのことは僕の思う男らしさで包んであげたいって思うから、ボーイってつけてるけど、キャンディみたいに甘くて可愛いところもある……だから、「キャンディボーイ」です。僕の中ではしっくり来ているから、それでいいのかなって思ってます。

……って言いたいところなんですけど、それは僕が芸能人だから成立している面もありますよね。実際、僕が中学の頃に「僕はキャンディボーイなの」と言えば、普通に引かれてたと思うし。

そもそも全員にわかってもらうというのは難しいので、自分の中に確固たる信念をもって、それを出せる場所を見つけて、自分の居場所を作る、というのがいいのかなって思います。TwitterでもInstagramでも原宿でもいい。僕は「みんな」にわかってもらう必要ってないと思っていて。だって、僕だって嫌いな人はいるし。だから、どうにかして自分の居場所を見つけて、自分で自分を愛してあげる、というところかな、って思っています。

椎木:そもそも他人って、自分が思うほど人のことを気にしてないですよね。だから他人にどう思われたいとか、こう思われたらどうしようなんて考えなくていいと思うし、それをプレッシャーに感じる必要もないと思います。そもそも自分の性別をひとつにカテゴライズしなくてもよくて。私だって、今後女性のことを好きになることもあるかもしれない。あまり決めつけず、気楽に考えてもいいのかなって思っています。

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役割ではなく自分ができることをやる

質問者2:りゅうちぇるさんに質問です。いろいろな意見を言われることがあると思うのですが、他人からのアドバイスに対して、受け入れるか受け入れないか、どう線引きをしていますか。

りゅうちぇる:僕は仕事とプライベートで、かなり切り分けて考えています。たとえば最近仕事で歌を出したんですけど、ミュージックビデオで「黄緑のリップをつけたい」って言ったら、いろんな人に反対されました。

でもそこで引き下がって、自分の納得のいかない色をつけても、世間に出たら「りゅうちぇるの作品」になっちゃうんです。「りゅうちぇるはああいうのが好きなんだ」って思われちゃう。だから、仕事は自分の意見をしっかりもって、強気に出て行く。もしそこで失敗したとしても、自分で責任がとれるし、次に活かせるからステップアップしている感覚があるんですよね。

でも、プライベートは僕ひとりの問題じゃない。ぺこりんとふたりの夫婦生活になるんです。だから、僕はこう思うって伝えた上で、相手の意見もちゃんと聞くし、ぺこりんが嫌な思いするならこういう風に変える?って提案もできる。プライベートは超柔軟です。

それは育児にも通じていて。そもそも僕は昔から体育よりも家庭科の方が得意なタイプで、男だからとか女だからっていう考え方自体がなかったんです。だから、子どもができた今でも、僕は自分ができることをやる。

男だから母乳はあげられないけど、おむつを替えたり料理を作ったり洗濯物をしたりするのはできる。よく周りから「なんでそんなにやってあげられるの、うちの旦那は全然してくれない」みたいに言われるんですけど、僕は男女の役割という考え方がなくて、ぺこりんと同じ人間だと思っているから、そこに違和感がないんですよね。僕が辛いことはぺこりんも辛いから、一緒に乗り越えていこう、ってなる

だからお仕事は自分で先頭を切っていこう、という感じですが、プライベートは柔軟に一緒に乗り越えていこう、という感じで切り分けています。

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居場所は自分で見つけるもの

質問者3:私の友人にセクシャルマイノリティーの友人がいます。彼は一見ハンサムで男らしい見た目ですが、夜になると私に電話で「自分の外見が嫌だ。怖い」と相談をしてきます。私はどうにか彼の助けになりたいと思っていますが、自分自身が当事者ではないため完全なる理解ができません。どうしたら性別の枠を飛び越えて相手の力になることができるでしょうか。

椎木:とてもリアルなお話ですね。最近同性婚なども認められつつあって、若い世代にいくほどセクシャルマイノリティーに対して寛容だなと感じる部分はあるんですけど、実は、だからといって当事者が生きやすくなっているといったらそうではないんですよね。

りゅうちぇる:僕たちは口では「同性同士の恋愛だっていいじゃん」って言っているけど、実際当事者から相談を受けたら何も返せない人の方が多いと思います。その人に寄り添って孤独を癒すことまでは、まだまだできていないんだな、というのを実感しています。

ちなみに、僕も似たような経験があります。ゲイの友人から告白をされて、僕はそのときに、ありがとうと伝えた上で、「でも僕は女の子が好きだから」と断りました。それ以来友人として付き合っているのですが、彼からも同じように「ゲイであることが辛い」という相談を受けました。

そのときにいろいろと考えた上で彼に返した言葉は、「居場所は自分で作るものだよ」ということです。僕が原宿に行ったように、「ここで生きていかないといけない」なんて決まりはないんだから、いろんな場所に行ってみたら「ここなら孤独を感じない」というところを見つけられるかもしれない。

質問された方は自分がどうにか力になりたいと思っているだろうし、そのお友達と離れてしまうのは辛いかもしれないけど、自分の居場所は自分で見つけるものだよ、いろんなところに行ってみたらどう?と提案してあげることもひとつの選択かな、って僕は思います。

「日本財団ソーシャルイノベーションフォーラム」は、高度化・複雑化する日本の社会課題の解決策を国や企業、団体や研究機関などの組織の垣根を越えて議論する場として、2016 年から開催されているイベント。3回目となる今年は日本財団と渋谷区が共同で開催。「SOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYA 2018」として9月8日(土)・9日(日)に青山学院大学 青山キャンパスで行われました。

(構成:園田菜々、編集:ウートピ編集部 安次富陽子)