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今日の会議で使いたい!「オバマ元米国大統領」に学ぶスピーチテク【届く、響く!プレゼンのお作法】vol.11

アフリカ系初の米国大統領となったバラク・オバマ氏

数々の名スピーチを生み、日本でも大統領就任中の2008年に出版された『オバマ演説集』(朝日出版社)が人気となったバラク・オバマ氏。まずは、あらためてオバマ氏の経歴を見てみましょう。


1961年8月4日、ハワイ州ホノルル生まれ。1983年にコロンビア大学を卒業後、地域振興事業の管理者などを経てハーバード・ロー・スクールに入学。1991年、法務博士の学位を取得。スクール修了後はシカゴで弁護士として法律事務所に勤務。

民主党の上院議員などを経て2009年1月20日に第44代アメリカ合衆国大統領に就任。アフリカ系、ハワイ州出身として初の大統領となりました。また、同年10月にノーベル平和賞を受賞。2017年1月、2期計8年間の任期を終え、惜しまれながらも大統領を退任しました。

任期終了に伴う大統領選に向けた「民主党大会での応援演説」

演説の名手としても知られるオバマ氏。今回ご紹介するのは、任期終了の前年2016年7月27日にフィラデルフィアで行われたスピーチの一部です。11月初旬の大統領選に向けて行われた民主党大会に出席し、登壇しました。

上記、BBC NEWS JAPANの動画『オバマ米大統領、別れに希望を語り バトンを次へ』は編集されているため全体の構成が少し分かりづらいのですが、このスピーチは民主党候補であったヒラリー・クリントン氏が大統領としてふさわしいという応援演説であり、共和党候補として立候補していたトランプ現アメリカ合衆国大統領、つまり対立候補に対する批判であり、かつ自身の“大統領としての別れの挨拶”でもあります。


はじめの「アメリカの未来について、今まで以上に楽観視しています」に続く言葉の数々は、当時共和党候補のトランプ氏が指名受諾演説で描いたような暗い後ろ向きの国とは逆の“自分の知るアメリカ”を述べたものと考えられます。

その後、スピーチの会場となったフィラデルフィアでかつて行われたアメリカ独立宣言の言葉を引き合いに出し、アメリカ国民には正しい候補者を選ぶ権利があることを強調。

「自国産のデマゴーグ(人々をうまく煽動する政治家)」とは、おそらくトランプ氏に向けられたものでしょう。

そして最後には、大統領任期8年間の国民へのお礼を述べてグランドフィナーレ。

内容は込み入ったものですが、終始区切りがよく聞き取りやすい言葉を使い、聴衆を引きつけることに成功しています。

完璧に見えるオバマ氏のスピーチですが、じつは私たちが盗めるテクニックもちりばめられているのです。順にご紹介していきましょう。

取り入れるとしたらココ! オバマ氏のスピーチの特長

(1)「わかりやすい言葉」を使うように心がける

オバマ氏のスピーチでは、“聞いてすぐに理解できる”ような易しい言葉が多く使われています。

発表会やスピーチでは、重みが出る気がしてつい難しい言葉を使ってしまいがちですが、聞き慣れないわかりにくい言葉は、話が複雑に聞こえてスムーズに伝わりづらくなります。できるだけ、わかりやすい言葉を使うように心がけましょう。

(2)常に「目線を全体に」配る

演説中、オバマ氏は右・左・右……と5秒ごとに目線を移動しています。これは聴衆に「全体を見てくれている」という信頼感を与えます。

最初からオバマ氏のように自然に視線を配ることは難しいかもしれませんが、心がけておくと段々と身につくでしょう。話し手として印象アップにつながりますよ。

(3)「キラーワード」を効果的に使う


オバマ氏は自身の大統領選挙から就任中まで、「CHANGE」や「Yes, We Can」などのキラーワードを作り、効果的に活用していました。

キラーワードを作る……これは上級者向けのテクニックかもしれませんね。ですが新たなキラーワードを作ることは難しくても、例えば製品発表会で“会社名”や“製品名”“製品名のコピー”などの重要な言葉をくり返し使うことはできます。

聞き手に強く印象づけるためにとても効果的なので、実践してみましょう。

ちなみに、上記の動画スピーチではいわゆるキラーワードは用いられていませんが、「That’s we are(それこそが私たちなのです)」など「We(私たち)」を巧みに使っており、聴衆との距離感を縮めて一体感を生み出すことに成功しています。

演説調に学びあり! 中高年のアイドル・綾小路きみまろ氏

さて、「日本でオバマ氏のように演説上手な人は?」と聞かれたら誰を思い浮かべますか?

意外に思われるかもしれませんが、私がすぐに思い浮かぶのは漫談家の綾小路きみまろさんです。お話しされているのはスピーチではなく“中高年層に向けた漫談”ですが、ライブでの口調が演説そのものなのです。


上手なポイントはいくつもありますが、わかりやすいところでは、話の区切りのよいところで必ず適度な間を置いていること。聴衆に考える時間(きみまろ氏の場合は笑う時間)を持たせるテクニックですね。そしてよく聴衆に向かって話しかけることもポイント。会場に一体感をもたらします。

また、マイクを持って舞台上を動きながら話すのも特徴のひとつ。観客を自分に引きつけて飽きさせない工夫といえるでしょう。

いかがでしたか? オバマ氏の演説はもちろん、きみまろ氏の漫談も観てみてくださいね。爆笑の中にも学びがありますよ。次回は、アップル社の共同創業者 スティーブ・ジョブズ氏のプレゼンテクニックを取り上げます。


 


【取材協力・監修】

チームビルディング・コンサルタント

尾方僚

大手就職情報会社に9年間勤務した後、コンサルタントとして独立。大学や企業人事担当者向けの講演を数多く行い、企業の採用コンサルテーション・研修に従事する。現在、日本女子大学リカレント教育課程 講師、日本工業大学、デジタルハリウッド大学の非常勤講師としてキャリア系科目を担当。著書は『プレゼン以前の発表の技術』(すばる舎)、『100人の前でもキチッと話せる本』(インデックスコミュニュケーションズ)など多数。

【参考】

尾方僚(2012)『プレゼン以前の発表の技術』(すばる舎)

尾方僚(2007)『100人の前でもキチッと話せる本』(ジェイ・インターナショナル)