シゴト・オトコ・キレイ-オンナ目線のキュレーションサイト

ペットを飼うなら必見! 映画『犬に名前をつける日』が深く切り込む「犬の殺処分問題」とは【最新シネマ批評】

main_large (1)
[公開直前☆最新シネマ批評]
映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画のなかから、おススメ作品をひとつ厳選してご紹介します。

今回ピックアップするのはドキュメンタリードラマ映画『犬に名前をつける日』(2015年10月31日公開)です。「ドキュメンタリードラマって?」と思う人も多いでしょう。

ドラマドキュメンタリーは、主人公は架空の人物だけど、内容はドキュメンタリー。主人公が犬の殺処分や保護施設のボランティアスタッフに取材を重ね、捨て犬や捨て猫の実態を映し出していくのです。

映画『すべては海になる』や小説「ベイビーシャワー」ほか、テレビドキュメンタリー番組などの多方面で活躍している山田あかね監督による、4年間の記録映像を元に作られた作品です。

【物語】

テレビディレクターの久野かなみ(小林聡美)は、愛犬を亡くして意気消沈。何もかもやる気をなくしていたとき、先輩の映画監督に「悲しんでいる暇があるなら犬の映画を撮りなさい」と言われ、カメラを持って取材に出ます。

彼女が向かった先は、動物保護センター。ここには飼い主が「もう飼えない」と犬を預けに来たり、捨て犬が運ばれて来たり。しかし、その犬たちは新しい飼い主が見つからないと殺処分されてしまうのです。それを阻止しようと頑張るボランティアの方たちと出会ったかなみは、ボランティアさんたちの姿を撮影し始めるのです。
sub5_large

【小林聡美は山田監督の分身?】

記者がこの映画の試写へ行ったとき、上映中あちらこちらですすり泣きの声が聞こえました。この映画、犬や猫を飼っている人にとっては、もう胸が詰まり、心が締めつけられるような気持ちになる映画のようです。

犬の殺処分をテーマにした作品は、以前にPouchでも紹介した堺雅人主演作『ひまわりと子犬の7日間』があります。この作品も実話ベースですが、完全に映画用に脚色されているもの。

でも今作『犬に名前をつける日』で主人公のかなみ(小林聡美)が取材する先は、実在の保護施設であり、登場するボランティアの方たちも実在する方たちだし、登場する犬も実際に保護施設にいる保護犬です。ゆえに鑑賞する際には、生々しい現実を目のあたりにすることになります。

かなみが施設の中にドンドン入っていき、スタッフにインタビューしたり、犬とふれあったりする姿は、どこまで演技でどこまで本当なのか、その境界線がありません。だからこそ面白い。新しいカタチの作品が登場した感があります。
sub3_large

このかなみというヒロインは山田監督の分身ともいうべき存在です。犬を亡くして何もかもやる気がなくなったとか、先輩監督にはっぱをかけられ……というくだりは、山田監督自身のエピソード。先輩を演じた渋谷監督は山田監督の知人で、渋谷監督自身が登場しています。山田監督に、演じている小林聡美テイストを盛り込んでできあがったのが、久野かなみというヒロインなのです。
sub2_large

【悪質ブリーダーの実態に驚き】

ちゃんと犬のことを考え、愛情を持って大切にしているブリーダーはたくさんいますが、一部に悪質ブリーダーと言われる業者も存在します。

映画ではブリーダーがもう扱えないからと保護施設に犬たちを渡すというシーンがありますが、暗く薄汚れた場所にギュウギュウに詰め込まれた檻を見て、犬たちはこんな場所にいて、交配させられていたのか……と可哀想な気持ちと許せない気持ちが胸に渦巻きました。

でもまだ撮影を許可しただけ、このブリーダーは良心的な方なのです。見えない場所でもっとひどい扱いを受けている犬がいる……。ボランティアの方たちはそんな犬たちを助けたくて活動を続けているというのが、映画を通して伝わって来ます。
sub4_large

【ちばわん&犬猫みなしご救援隊の活躍】

『犬に名前をつける日』に登場するボランティア団体は「ちばわん」と「犬猫みなしご救援隊」です。「ちばわん」は、保護犬たちに飼い主を捜してあげようと奔走。これまで5000頭以上の犬猫たちの命を救ったそうです。

「犬猫みなしご救援隊」代表の中谷さんは、自ら犬猫のシェルターを作り1000頭以上の犬や猫を保護しています。映画には猫部屋が登場しますが、部屋中、猫猫猫、もうビックリ。また東北大震災の際には、被災地から1400頭の犬猫を救出しています。この方たちがいなかったら、その数の犬猫が命を落としていたかもしれないのです。

この映画を見ていると「何か自分にできることないかな」と考えてしまいます。将来、犬を飼うときは保護犬にしようと思ったり……。

『犬に名前をつける日』は、この問題に興味がなかった人でも、見れば必ずグイっと心を持っていかれる、そんなパワーのある映画。だから、できるだけ多くの人に見てほしい。かわいい犬や猫、その裏にある問題に目を向けるきっかけになる作品ですから。

執筆=斎藤香(c)Pouch

sub1_large
cast2_large
sub6_large
cast1_large

『犬に名前をつける日』
2015年10月31日より、シネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー
監督:山田あかね 
出演:小林聡美、上川隆也、青山美郷、今村沙緒里、渋谷昶子ほか
(C)スモールホープベイプロダクション

この記事の動画を見る

オリジナル記事: ペットを飼うなら必見! 映画『犬に名前をつける日』が深く切り込む「犬の殺処分問題」とは【最新シネマ批評】
Copyright© Pouch[ポーチ] / SOCIO CORPORATION. All rights reserved.

●関連記事