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エマワトソンが意外とハマリ役!! SNSの怖さがわかる映画『ザ・サークル』でSNSの餌食になりながらも戦う女性を熱演【最新シネマ批評】


【最新シネマ批評】
映画ライター斎藤香が最新映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、レビューをします。

今回ピックアップするのはエマ・ワトソンとトム・ハンクス共演作『ザ・サークル』(2017年11月10日公開)です。

巨大SNS企業の経営者を演じるのがトム・ハンクス。その部下を演じるのがエマ・ワトソン。SNS社会が作りだす、明るい未来の裏にある闇をえぐりだしていく、サスペンスタッチの作品です。

【物語】

地元で派遣社員として働いているメイ(エマ・ワトソン)は、退屈な毎日、冴えない自分にウンザリしていました。そんなときに親友アニー(カレン・ギラン)から、自分が勤めるSNS企業「サークル」で働かないかと誘われます。

顧客担当として入社したメイは、刺激的な毎日にワクワクしながらも懸命に働き、経営者のベイリー(トム・ハンクス)始め、職場の同僚の信頼も得られるようになっていきます。

そんなある日、メイは「サークル」社の新サービスの実験モデルに選ばれ、会社が開発した超小型高性能ワイヤレスカメラで、自分の24時間をライブ配信することに。そこから彼女の人生は大きく変わってしまうのです。

【サークル社の社員イベントは「見たことある」光景!?】

サークル社は休日でも社員同士がイベントで顔を合わせて、その体験をSNSで発信するという日々を繰り返していますが、実はこれらのシーンは「会社あるある」。

社員旅行に参加したり、仕事終わりに上司に付き合わされて飲みに行ったりしますが、サークル社が会社ぐるみで行なっているのはそれらと一緒。「チームの結束を固めよう」という飲み会に、ライブ配信がくっついているようなものなのです。

メイは、休日まで仕事に縛られ、ネットに体験をアップしなければならないことに違和感を抱いています。

しかし実はサークル社の「体験すべてをライブ配信」「すべてをSNSで公開」そのものは悪とは言い切れないのです。なぜなら楽しんでいる人もいるから。でも、だからこそ、サークル社はやっかいな存在なのですね。

メイも面倒だなと思いつつ、経営者に声をかけられ、会社に認められていくことに多少の喜びは感じています。彼女はかつての退屈な日々に戻りたくない気持ちもあるのではないかと思うのです。

【いつの間にか人を傷つけるSNSの怖さ】

人と人とが繋がり、コミュニティを広げていくのは良いことで、メイが勤める「サークル」社が打ち出すのは、そういう繋がり。

しかし繋がるために「お互いを透明化して隠し事をなくそう」と提唱しているのには、経営陣による金儲けの思惑があり、また使い方を間違えたり、脇が甘かったりすると、メイのように悪夢を見ることになるのです。

この作品で一番怖かったのは、生放送で身内の秘密をさらしてしまったり、親友を傷つけてしまったり「そんなつもりじゃなかったのに」ということが、メイの身に次々起こることです。

それに加えて、メイは家族や友達がさらし者になったあと、世界中のサークル会員から、なぐさめられたり、罵倒されたり、さまざまな言葉の洪水を浴びます。放っておいてほしいときに放っておいてくれないのもSNSの怖さ。

メイはSNS企業の人間なので、そういったメッセージを完全無視はできないでしょうし、そこが辛かったですね。おそらく自分だったら、会社を辞めて「時間が解決するのを待とう」と思ったりするかもしれません。

でも、メイは会社を辞めず、逆にサークル社を深いところまで知ることでその理念とシステムを逆手に取り、逆襲に転じるのです。

【エマとトムはベストなキャスティングだけど…】

『美女と野獣』でスターパワーを発揮したエマ・ワトソンは、パーティ三昧のセレブとは一線を画すインテリジェンスな女性。国連組織 UNウィメンの親善大使に任命され、男女のジェンダー間の平等についてのスピーチは話題になりました。


彼女がこの役を選んだのは「らしい」という感じがします。田舎育ちのピュアな女の子が、自らSNS社会の餌食になりながらも、逃げずに立ち向かおうとしながら強くなっていく姿は、成長物語の側面もあり、エマにピッタリ!

ただ、若干、説得力が足りなかったかなあとも思いました。これは彼女のせいではなく、SNSは100%の悪ではないため、ヒロインの正義の在り方が少々曖昧になってしまったせいかもしれません。

トム・ハンクスはサークルの経営者として、メイを利用してサークル社を大きくしようと画策する張本人。珍しくヒール役で、スティーブ・ジョブズ的なカリスマ経営者的として登場し、笑顔を見せながら悪い一面をチラ見せしていました。

けれども作品内でエマを好サポートすることに徹しており、悪目立ちしようとしないところは、さすがトム・ハンクス。やはり懐が深いなあと思ったりしました。

【SNSとの付き合い方を改めて考える作品】

「72時間ホンネテレビ」が話題になりましたが、こういったライブ配信の人気が急上昇し、テレビを凌駕する勢いの今。本作はまさにその世界を切り取った映画と言えるでしょう。このままライブ配信が盛り上がり、調子に乗って道を誤ると、こういう事態にもなるからねと警告されているようでした。

SNSは楽しい情報ツールだけれど、使い方を間違えたり利用されたりしないように注意しないと! と改めて思わせてくれる映画でしたね。

執筆=斎藤 香 (C) Pouch

『ザ・サークル』
(2017年11月10日より、TOHOシネマズ新宿ほか全国ロードショー)
監督:ジェームズ・ポンソルト
出演:エマ・ワトソン、トム・ハンクス、ジョン・ボイエガ、カレン・ギランほか
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