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「金融機関の経験は転職でどう生きる?」金融出身女性の赤裸々トーク

第一線で活躍する金融業界出身の先輩女性を講師に招いた「これからの金融女性のキャリアを考える女子会」(1月26日開催)。エニタイムズ代表取締役CEOの角田千佳さん、VIVIA JAPAN代表取締役/MindNET Technologies Ltd. Co-founderの大山知春さん、エメラダ広報の野澤真季さんの3人によるパネルディスカッションが行われました。

DAILY ANDS編集長のくすいともこがファシリテーターを務め、「大企業を飛び出すことに対する不安はなかった?」「年収が下がって不安になったりしなかった?」「金融業界の経験は生きる?」など気になる疑問を投げかけながら、3人のホンネを引き出しました。

キャリアに悩んでいる金融女性のモヤモヤが晴れるようなパネルディスカッションの一部を、全2回に分けてレポートしたいと思います。

【「これからの金融女性のキャリアを考える女子会」リポートはこちら】
(1) 角田さん講演
(2) パネルディスカッション前編
(3) パネルディスカッション後編

金融業界を志した理由とは?

金融出身女性,トーク, 転職 VIVIA JAPAN代表取締役/MindNET Technologies Ltd. Co-founderの大山さん(写真=筆者撮影)

くすい:まず、金融機関に入社されたきっかけを教えていただけますか?

角田さん(以下角田):野村證券に決めたのは、リクルーターから最初に紹介された企業だったからです。1部の講演でもお話しましたが、深く考えずに入社を決めてしまいました。将来は国連で働きたかったので、いずれにしても1社目は3年くらいで辞めようと思っていました。

大山さん(以下、大山):就職活動のときにやりたいことがなくて、どこに勤めたらいいのかとても悩みました。ただ、女性が幸せに生きるには、経済力が必要だと思っていたので、稼げるようにはなりたかったんです。

そこで、求人広告をよく見てみると、金融系企業の募集がたくさんあり、給与水準も高いことに気づきました。金融業界への中途転職はすごく難しいなと思ったので、新卒で入社した方がいいだろうと。そこで、みずほ銀行に最初の内定をもらえたので入社を決めました。

野澤さん(以下、野澤):私は、大学時代に親しかった先輩が野村證券に入社されていて、久しぶりにお会いしたら、とてもかっこよくなっていたんです。一生懸命、仕事の話をしていて楽しそうだったんですよね。「こんなに人を磨いてくれる会社で働きたいな」と興味を持ち、就職活動シーズンには「もう野村にしか入りたくない!」くらいの気持ちになっていました。

転職の決め手は?会社への疑問など共通点も

金融出身女性,トーク, 転職 エメラダ広報の野澤さん(写真=筆者撮影)

くすい:では、転職のきっかけはどうでしょうか?

角田:大学時代にサイバーエージェントでアルバイトをしていたのですが、そのときの上司が新しい子会社を立ち上げた直後に声を掛けてもらったんです。野村證券3年目の頃ですが、すでに退職を決意して転職活動を始めた頃でした。

IT企業からいくつかオファーをもらっていたのですが、ゼロからイチのビジネスを手掛けることに興味があったので、サイバーエージェントへ転職することにしました。

大山:3年は勤めようと思っていたのですが、「これって意味あるのかな」と感じる仕事が多いと感じてしまったんです。例えば、会議に際してパソコンのデータを投影すればいいのに模造紙に書き変えるとか、新人は上司の机を拭くとか……そういうことがものすごく多くてへきえきしてしまいました。

でも、私は営業に配属されたので、1年で辞めてしまっては営業成績が何もなく、転職するにしても履歴書に書けることがないんですよね。なので、とりあえず2年頑張って、目標は全部達成してから辞めようと考えました。

野澤::私は野村證券に7年間勤めていました。2009年から2016年までずっとセールスをしていたのですが、世の中はIT化が進みお客さまのニーズも少しずつ変わっているのに対し、営業スタイルがまったく変わらなかったんです。

会社のスタンスに疑問を感じたことがきっかけで、転職を考えるようになりました。そのタイミングで、今の会社の代表が会社を立ち上げるということで、私のところに話が来たんです。

私が7年間金融業界で働く中で、問題解決したいと思っていたことにまつわるサービスを作りたいという話だったので、思い切って飛び込みました。

転職は不安よりもワクワクが勝った

金融出身女性,トーク, 転職 (左から)大山さんとエニタイムズCEOの角田さん(写真=筆者撮影)

くすい::皆さん、ファーストキャリアは金融機関からスタートされて、いろいろな方向に進まれたわけですが、大企業を飛び出すことに不安を感じませんでしたか?

角田:私はまったく不安はありませんでしたね。逆に、現状維持にリスクを感じていました。やりたいことがあるのに足踏みして次に進まないと、大事な時間が過ぎてしまうという焦りがありました。新天地に飛び込む方が、むしろリスクが少ないなと。

大山:私も不安はありませんでした。というのも、会社が嫌で嫌でしょうがなかったからです。金曜日に元気になって土曜日からすでに憂鬱……という状態だったので、家族も「そんなに嫌だったら身体にも悪いから早く辞めなよ」と背中を押してくれました。

野澤:私はお二人とは逆で、大企業を飛び出すことは不安でした。やはり金融機関に勤めていると、福利厚生が手厚いんですよね。それを手放してしまっていいのかなと。(笑)

その一方で、やりたいことが叶う環境で働ける機会は貴重ですし、そこには価値を感じていました。とはいえ、まだ転職3年目なので、本当に自分の選択が良かったかどうかは分からないのですが、大企業にいるだけでは得られない経験ができているなと思っています。

年収が上がり仕事が楽しくなった

金融出身女性,トーク, 転職 (写真=筆者撮影)

くすい::ちなみに、転職されてから年収はどれくらい変わりましたか?

角田:サイバーエージェントに転職したときは、まだ社会人3年目だったのもあり、想像以上に上がったので驚きました。

エニタイムズを起業したばかりのときは、最初の1年間はエニタイムズでの給与設定はゼロにしていました。

大山:2社目は基本給20万円だったのですが、自分の稼いだ金額の25%がボーナスになるという、すごく明確な給与制度でした。とはいえ、銀行の方が確実にもらえる金額は多かったですね。ただ、やればやるだけ給与に反映されるので、転職1年目には年収500万円くらい、2年目には1000万円くらいにアップ。社会人になって、初めて仕事が楽しいなと思いました。(笑)

野澤:正直なところ、転職した時には年収は下がりました。ただ、その一方でお金に変えられない経験ができたので不満はありません。

私のミッションは、少数の社員しかいないベンチャー企業が、いかに効率よく事業を加速させていくかを考えることです。なので、自分の取り組みの効果が出てくると、給与交渉もできます。それは、大企業と違って経営者との距離が近いからこそできることかもしれません。

くすい::角田さんは経営者ですが、給与交渉についていかがでしょうか?

角田:企業が求めている人材であれば、交渉次第で希望の給与を支払うことはあります。 実際、エニタイムズでも採用時に「理念に共感するのでぜひ入社したいけれど、リスクもあるので現職の年収から10%アップできないか」と交渉されたことはあります。当時の会社の規模としてはかなり厳しかったのですが、私たちとしてはしっかり投資したい部分だったので、希望の年収をお支払いすることに決めました。

くすい::経営者にしてみると、給与の交渉があっても「投資」と思えたら払うケースがある、と。交渉の余地があるのは大企業にはない、スタートアップの魅力かもしれませんね。

金融業界での経験は異業種に応用が効く

金融出身女性,トーク, 転職 (写真=筆者撮影)

くすい::金融機関で得たスキルや経験で、今に生きているものはありますか?

角田:スキルというよりも、固定観念や暗黙のルールなど、それまで見えていなかった社会の枠組みに気づいて、疑問や問題意識を持つことができたという経験は生きていますね。もし新卒でサイバーエージェントに入社していたら、いまだに気づかなかっただろうなという経験を積めたことが特に貴重でした。

また、社会課題を肌で感じる機会が多かったことも、今につながっていると思います。私は本店の資産管理部にいたのですが、お客さまの相続相談から派生して人生相談に乗ることもあったんです。それにより高齢者の孤独を知ることもできました。

大山:私は2社目で、個人のお客さま向けに海外の投資にまつわるアドバイスをする仕事をしていました。その仕事を通して知り合ったお客さまが、私の起業にあたってこちらがお願いする前に出資してくださったんです。

それは、金融機関の顧客と担当営業という関係性があったからこそ。そうしたご縁を持てたことは、起業家としての進路を切り拓くにあたって大きかったなと思っています。

野澤:私はコミュニケーションスキルが身についたと思います。金融機関はどの部署でもコミュニケーション能力に長けた人材が集まってくるので、どんな人ともうまく会話できると思うんですね。今、広報の仕事をしているので、そのスキルがとても生きているなと。大企業の広報は割と受け身な対応をするケースが多いのですが、中小企業はそうはいきません。

「うちはこういう会社なんです」と積極的な宣伝、いわゆるメディアキャラバンをしなくてはいけません。それができるのは、野村證券でコミュニケーション能力と営業能力を培うことができたからこそだと思います。

後編では「金融女性のこれからのキャリア」を語り合う

デリケートな質問にも、オープンかつ自然体で答えてくださったお三方。そうした姿からも、現在の仕事が充実している様子がうかがええました。

パネルディスカッションの後編では、「金融女性のこれからのキャリア」への提言などたっぷり語っていただきます。(続く)