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「スピリチュアルはズブズブにならないように」友達や寂しさとの付き合い方を考える

仕事に伸び悩み、他者への嫉妬をつのらせる34歳の主人公・レミが、自身の守護霊であるイルカの「ヌルラン」と会話をしながら、生き方をだんだんと見直していくというストーリーの小説『ヌルラン』(太田出版)を上梓した、漫画家・コラムニストの辛酸なめ子さん。

ユニークな視点で綴られてきたこれまでのエッセイと同様、本作にも“辛酸節”が随所に散りばめられています。また、レミを取り巻く人間模様も見どころのひとつ。例えば、スピリチュアル系女子仲間で、健康食品店でアルバイトをしている“伊藤さん”」や、「陰謀論・宇宙人・オカルトへの興味が強い、暗い目のイケメンの雅之」など。

ある日突然、友人がスピリチュアルにハマってしまったというのも、アラサー世代のあるあるかもしれません。何かにすがりたくなる寄る辺なさや、辛酸さんの「アラサー世代特有の友達観」について聞きました。

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【第1回】小説を書き終えた辛酸なめ子さんが思うこと

スピリチュアルはズブズブにならないように

——30代になって、周囲にスピリチュアルにハマる人が増えているような気がします。例えば、雑誌の占いを参考にするレベルから、怪しいセミナーにのめり込む人もいて……。関わり方を考えてしまいます。バランスを保ちながら楽しむ秘訣はありますか?

辛酸なめ子さん(以下、辛酸):何にハマるかは人それぞれですが、自分の直感に従って、違和感を覚えたらハマりすぎないようにした方がいいですね。ズブズブになったら人生をコントロールされてしまうこともあるので。

——辛酸さんは、その道の達人に1日弟子入りしたという『魂活道場』(学研プラス)など、スピリチュアルな世界にもかなり詳しい印象があります。もともと何をきっかけにスピリチュアルにハマったんですか?

辛酸:昔から、宇宙人とか『ムー』の世界が好きで。精神世界的なところからハマっていっていきましたね。そこから、スピリチュアルセミナーにも行くようになりました。そこで体験したことを、エッセイにもしています。

——セミナーや鑑定をしている人の中には、お金儲けのために過激な発信をする人もいますが、辛酸さんは危険な目にあったことはないですか?

辛酸:いろんなセミナーに通ってみると、だんだん怪しい人がわかるようになるんです。目をあわせてくれなかったりとか、主催者や参加者の欲がチラついたりとか。状況を、自分で冷静に判断するスキルは必要ですね。

友達に悩みを相談できないのでネット検索してしまう

——スピリチュアルにハマるって、何か悩みがあってのことだと思います。けれど、30代になると、周囲に弱みを見せたくない気持ちがあったり、みんな忙しいだろうと遠慮してしまったりして、なかなか悩みを相談できません。ちょうど頼るところが欠けてしまう時期なのかもしれません。

辛酸:そうですね……。友達のコミュニティって、大人になると細分化されますよね。わたしの場合は「皇室のはなしをする友達」「スピリチュアルのはなしをする友達」とか。LINEグループも、トピックごとに展開しています。

——それって、ずっと一緒、ではなく薄いつながりということですよね。

辛酸:はい。中高生のころの仲良しグループみたいなわけではありません。なんでも話せて、悩みを相談できる人って減りますよね。

——悩みを抱えたときは、どうしているんですか?

辛酸:Yahoo!知恵袋や教えて!gooで、同じ悩みを持っている人の投稿がないか検索することが多いですね。友達に相談して、「重い」と思われるなら検索したほうがいいと考えてしまうんです。

——そういう方が多いからこそ、ネットサービスが盛り上がるのでしょうね。

辛酸:「SNSで近況がわかるから、わざわざ会わない」っていう人も多くなったと思いますね。同級生で集まっても、大人数だと結局ゆっくり話せないこともありますし。

同級生との会合で衝撃を受けたネームプレート事件

——大人になると友達との距離をはかるのが難しくなるというか。ライフスタイルやライフステージの変化によって、分断されがちです。

辛酸:わたしも、子連れの会では、会話に混ざることができずに寂しかったこともあります。それ以上に衝撃を受けたのは、同窓会でネームプレートが配られて「子どもの年齢を書いてください」と言われたときですね。

——ママ会じゃなくて、同窓会でそれはつらいですね。

辛酸:驚きました。子供の有無の他にも、思い込みにとらわれて寂しさを抱えてしまうことがあります。というのも、わたしは中高一貫の私立女子校出身なんですが、同級生はみんな、仕事で成功していたり、子育てに励んだりと、人生を着実に歩んでいるように見える人が多くて。彼女たちは道を踏みはずすことがないんだろうなと思ってしまうんです。

——辛酸さんのように長い間メディアで活躍されていても、気後れしてしまう部分があるんですね。

辛酸:個別に話すと、それぞれ悩みや苦労を抱えていて、外から見える華やかな部分だけではないとわかるんですけどね。当時の話で盛り上がって、お店で賛美歌大合唱したこともあるんですよ。

——学生の頃に戻ってる(笑)。

11月28(水)公開予定の最終回は、長年フリーランスのコラムニストとして活躍している辛酸さんの仕事術について伺います。
(取材・文:小沢あや、撮影:大澤妹、撮影協力:HMV&BOOKS HIBIYA COTTAGE、編集:ウートピ編集部 安次富陽子)