美しく正しい日本語を巧みに用いて、俳句を詠めたら素敵ですよね。そこで、又吉直樹さんとの共著などで話題の俳人・堀本裕樹さんが主宰する「たんぽぽ句会」を取材。季語の取り入れ方や言葉の選び方など、俳句を上手に詠む方法を教わりました。

 

 

ドキドキの初参加!たんぽぽ句会をレポート

たんぽぽ句会は初心者向けに月1回開催されるカジュアルな句会。カフェなどを会場に、食事をしながら人気の俳人・堀本裕樹先生に俳句の作り方や楽しみ方をレクチャーしていただけます。気軽なスタイルなので、俳句を作るのが初めて、という人にも大人気。米肌アンバサダーのゆうきさんが俳句に初挑戦した様子をレポートします。

このときの兼題(お題)は「雛祭り」「蛇穴を出づ」。事前に俳句を作り、提出しておきます。会場に到着すると、参加者全員分の俳句をまとめた用紙を渡されます。食事をしながら、まずは選句にトライ。参加者22名、合計124句の中から気に入った作品を7句、そのうちから特選を1句選び出します。

会場は下北沢の「mona records おんがく食堂」。野菜たっぷりのおいしい食事をいただきながら、和やかなムードで会が進みます。

 

 

選句の様子。さまざまな感性が凝縮された句ばかりで甲乙つけがたいよう。

 

 

同じ句でも、人によって解釈はさまざま

食事と選句がひと段落したら、本格的に句会がスタートします。初めて参加するメンバーはここで自己紹介。さらにマイクが順番に渡され、参加者それぞれが選んだ句を読み上げる「披講」をしていき、その句の作者が名乗っていきます。全員の披講が終わると、なぜその句を選んだかについてコメントしていく「選評」にうつります。作者は自分が作った句の意図などを語る機会が与えられます。全員が何らかのコメントを発する機会があり、ドキドキしながらも、選ばれて喜んだり、他者からの新鮮な解釈に感心したり、作者の意外な意図に驚いたりして会は徐々に盛り上がっていきました。

米肌アンバサダーのゆうきさん。初参加の挨拶を経て、披講の時間に入ります。

 

 

選評は緊張しますが、解釈の違いや作者の思いが聞けて興味深いコメントばかり。

 

 

先生による選評で会はクライマックスへ

待ちに待った堀本先生による特選・秀逸・佳作の発表の時間は、場の空気がピリッと引き締まる瞬間でした。特選は次の3作が選ばれました。

『蛇穴を 出づなんとなく 家を出づ』
「蛇は春になると穴から出てくるけれど、人間は自分の気持ち次第で家を出たり入ったりできる。そこを対比的に詠みつつ、リフレインされた『を出づ』のリズムがユニークに響いている」(堀本先生)。

『蛇穴を 出て真白なる 今日の富士』
「蛇が穴を出てきて、その遥か向こうに大きな富士山がそびえているという遠近法が生かされている。蛇と霊峰である富士山の取り合わせがおもしろい」(堀本先生)。

『ひなあられ 手に半生を 語るひと』
「人生のなかで何度も雛祭りを経験してきた人が、ひなあられを手にして、あらためて自分の半生を振り返っている姿が映画の1コマのようでドラマチック」(堀本先生)。

 

 

 

そしてなんと、米肌アンバサダーのゆうきさんの投句のひとつも、先生の佳作に選ばれました。

『初節句 祖母の笑顔を お守りに』
「祖母が優しい笑顔で、初節句を迎える幼かった作者を見守っている様子が見えてきました」(堀本先生)。
「子供の頃を思い出しながら作った句が選ばれて、嬉しかったです」と、ゆうきさんは思いを語ってくれました。

 

 

 

堀本先生がそれぞれの句に対して「僕ならこうするよ」と語順を入れ替えたり、言葉の取り合わせを変えたりして、添削してくださるケースもあり、皆真剣な様子で聞き入っていました。

「初心者の作った句は特に、説明や理屈はできるだけ省いて、厳選した言葉だけを用いて情景を客観的に詠んだらもっと良くなる句がたくさんあります。まずは季語に親しみ、十七音のリズムに慣れていくことが大事ですね」(堀本先生)。

俳句作りも全くの初心者のゆうきさん。「初めは五・七・五の定型に収める難しさに苦戦しましたが、出来上がった時のピタッとパズルがはまった時のような楽しさはクセになりそうです」と俳句の楽しさを直に感じることができたよう。

米肌アンバサダーのゆうきさん(左)と、堀本先生(右)。「俳句は難しいと思われがちですが、思い切ってやってみると楽しさがわかりますよ」とアドバイス。

 

 

俳句に親しむほど、日本語の美しさや奥深さを感じられる

紙とペンがあれば、いつでもどこでも始められる俳句。最初は、季語を学ぶこと、五・七・五の十七音にまとめることが大事。でも、季語の取り入れ方や言葉の選び方など、初心者には難しいことばかり。俳句に興味を持ったら、まず何から始めればいいでしょうか。

「初心者の方は、とにかく作ってみることから始めましょう。俳句に使う季語は、俳句歳時記を参照してください。今の季節や気分に合う季語は何かと探すうちに、光や色、香りや音など身の回りに敏感になっている自分に気づかれるのではないかと思います。散歩しながらの吟行や句会に参加するのも発見があって面白いですよ。俳句作りに迷ったら、先人が残してきた俳句を読んで、多くの名句に触れてください。発想力、言葉の取り合わせなど勉強になりますし、日本語の美しさや奥深さを感じるはずです」(堀本先生)。

俳句作りに慣れてきて、さらにレベルアップするためには、どうすればいいでしょう。

「作った句を投稿したり、句会などで人に披露してみたりしましょう。句会はいわば俳句を発表するライブです。自分の俳句を発表すると同時に、参加者の表現にたくさん触れることができます。句会では、自分の句が誰かに選ばれたり、添削されたりすることでさらに研鑽を積めるので、次に生かそうという意欲につながる人が多いですよ」(堀本先生)。

感性を磨けるのはもちろん、年齢性別を問わず誰でもチャレンジできるのが俳句の良いところ。「老いも若きもそれぞれの良さがあり、俳句にはその人の心が自然に滲んできますね」と堀本先生は言います。趣味を同じくする仲間との新たな出会いも期待できる句会に、まずは参加してみてはいかがですか?

<取材協力>堀本裕樹さん
俳人、文筆家。1974年和歌山県生まれ。「蒼海」主宰。「いるか句会」「たんぽぽ句会」の指導も行う。著書に句集『熊野曼陀羅』、『富士百句で俳句入門』、又吉直樹さんとの共著『芸人と俳人』、『いるか句会へようこそ!』、『ねこのほそみち』などがある。最新刊は穂村弘さんとの共著『短歌と俳句の五十番勝負』(新潮社)。

 

堀本裕樹オフィシャルサイト

 

 

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Photo:Kayo Takashima
Text:Hiroko Nakayama